力学序説

私は一年浪人して阪大歯学部に合格しました。もう43年も昔のことなんですね。

阪大に入って初めて知ったのは医学部、歯学部は仮進学がなく、教養科目の必須単位をひとつでも落としたら留年だということです。しかも、医学部歯学部は必須科目がやたら多く、語学をはじめ、理系のほとんどすべての科目が必須でした。

同じく理系の工学部や基礎工学部は仮進があって、3年になって学部に行きながら教養の単位を取ることができました。

私は後期の半年しか開講していない力学序説という必須科目を1年目に落としました。いきなりリーチです。教養の2年生の後期でまた落としたら即留年決定です。まるで入学試験を受けるようなプレッシャーだったのを覚えています。

今でも忘れもしない、私を落とした力学序説の先生は砂川という教授でした。

その教授は初めての授業の時、君たち受験の時の物理の問題はできたかね?と質問しました。あの年の物理の入試は難解でほとんどの受験生が0点だったと聞いていました。

あれは、君たちに解けるはずはないのだよ、だって、あれは教養の二年生レベルの問題だからとその教授はのたまわりました。

高校生が習ってない問題を入試に出すってどういうこと?と憤りを覚えましたが、変なことを言って留年させられたら困るのでみんな黙っていました。その後の授業でもなかなか変人ぶりを暴露していました。すっかり忘れましたが。

この教授は厄介そうだと思ってそれなりにちゃんと授業にも出て勉強もしたのですが、テストに落とされました。また、教えてないことを出題したのでしょうか?

大学を卒業して20年以上経った時に、歯学部のクラス会で湯川君という同級生と受験の時の物理の問題について話しました。なんと驚いたことに彼はその問題が解けた、別に難しくなかったというのです。その分彼は英語が苦手だったんですけどね。国立大学の歯学部には時々こういうユニークな人がおりました。

入学試験の頃になると昔のことを色々と思い出します。


コメント

人気の投稿